外国人とは
外国人という言葉自体は多くの意味をはらんでいて,それを発する人によって意味合いが違ってくると思います。
外国の国籍だけを持っている人だけであればわかりやすいかもしれませんが,それでは外国の国籍と日本の国籍を持っている人はどうなの?日本で生まれ育った人はみな日本人?といろいろなパターンが考えられてしまいます。
みんながバラバラの意味で「外国人」について話し合ってしまえば,まとまる話し合いもまとまりません。
そのため各種法令では,その法令の最初の方に「定義」条文を作り,この法令内ではこの言葉の意味はこのように定義しますと宣言したリすることがあります。
出入国管理及び難民認定法上の定義
外国人が日本に滞在するために必要な「在留資格」ですが,これは「出入国管理及び難民認定法」(入管法)と「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」(入管特例法)によって定められた制度です。
外国人という言葉は入管法では第二条1項一号で以下のように定義されています。
第二条 出入国管理及び難民認定法及びこれに基づく命令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
出入国管理及び難民認定法
一 外国人 日本の国籍を有しない者をいう。
日本の国籍を有しない者を外国人というのであれば,外国の国籍と日本の国籍を持っている人は日本人ですね。
そして,日本で生まれ育っても日本の国籍がなければ外国人となります。
それでは,日本国籍はどのような場合にもらえるのでしょうか?
国籍法における日本国籍
「国籍法」という法律では,どのようなときに日本国籍を取得し,どのようなときに日本国籍を失うか定められています。
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
国籍法
このように子どもは生まれた時に日本国籍を取得します。
それでは,自ら望んで日本人となることはできないのでしょうか?
国籍法は「帰化」という手続きを経て,日本国籍を持たない者も日本国籍を取得できるとしています。
第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
国籍法
ここまでは,国籍の取得についてみてきましたが,日本国籍を持っている者がその国籍を失ってしまえば外国人となってしまいます。
国籍法にはどのような場合に日本国籍を失うかについても書かれています。
第十一条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。
第十二条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。
第十三条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。
国籍法
日本は現状二重国籍を認めていません。
そのため,外国の国籍を取得したり,二重国籍である者が外国の国籍を選択したりした場合は日本国籍を失い,外国人となります。
外国で生まれ育っても,外国に長く滞在していたとしても国籍法により日本国籍を失わない限りは日本人です。
在留資格とは
在留資格とは「入管法に定める外国人」が日本に滞在するために必要なものです。
日本国籍の者が日本に滞在する際には,生活の基盤が外国にあり,日本への滞在が一時的だったとしても在留資格は必要ないということになります。
逆に日本で生まれ育って,自分の国籍の国に一度も行ったことがないという場合も日本国籍がなければ在留資格が必要となります。
尚例外的に,日米地位協定(SOFA)を根拠として日本に滞在している軍人,その扶養家族,軍属については在留資格を持ちません。
まとめ
このように,外国人が適法に日本に滞在するためには「在留資格」が必要となります。
この在留資格というのは入管法と入管特例法で定められた制度で,入管法では外国人について「日本の国籍を有しない者」と定義されており,日本国籍の取得及び喪失については国籍法で定められています。